大雪山は日一日と秋が迫り、赤岳の山肌にはウラシマツツジの赤やヒメイワタデの朱が目立ち、空にはアキアカネの群れが飛び交い稜線が燃えるような紅葉になるのももうすぐ。紅葉前線は山を下り9月には旭岳姿見、黒岳東斜面、銀泉台、高原温泉、層雲峡温泉へと移っていきます。
高根ヶ原登山道路上にはクマ糞があちこちに見られクロマメノキの皮と種がしっかり詰まっています。このあたりはクロマメノキが豊作でたわわに実った黒紫のブルーベリーが ヒグマの大事な餌のようです。
植物繊維の詰まったクマ糞。
高根ヶ原から大学沼に目をやると何やら波立つ中心に黒い個体が岸に向かって移動しています。ヒグマセンターのパトロールが引き上げた後の事でした。暑さで水浴びに来たのでしょうか悠々と泳ぐ姿にしばらく見入っていました。
標高1600m旭岳ロープウエイ姿見駅前のウラジロナナカマドの果実が赤く色づき始めました。
夏休みでこどもたちの姿が多く見られました。夫婦池付近の岩穴に恐る恐る手を入れると中の温かい温度に驚き歓声を上げていました。
好天に恵まれ雄大な旭岳を見ながらの散策、猛暑の続く大阪から涼しい大雪山へご家族で参加していただきました。
園地のお花もすっかり秋の様相です。エゾオヤマリンドウやアキノキリンソウ
クロマメノキの果実も熟し葉も赤く色づいてきました。
2つに分かれた柄から下向きに1cmに満たない花を付けるリンネソウ、メオトバナとも言われハイマツの陰などに群生しているのが赤岳頂上まで多くみられました。
秋の装いが進むお花畑、夏の賑やかな山肌の色合いも少しづつ寂しげですが、お花たちのしっかりとした次の準備を進めている姿 を見るとたくましく感じられます。
山肌が燃えるような真っ赤な色に染め上げるウラシマツツジの紅葉も始まってきました。遠くから見るとまるでビロードの赤絨毯を敷き詰めたようなすばらしい光景を演出してくれます。
コマクサ平ではまだ鮮やかなピンクの姿を見せてくれるコマクサが見られます。
夏の終わりを告げるかのようにクモイリンドウが咲いていました。コマクサ平にはさほど多くはありませんがこの時期一番、目 を奪われるお花でしょうか。
奥、東岳。
赤岳への斜面で見つけた、シロバナイワギキョウ。純白の花弁が印象的でした。
9月には目の覚めるような紅色に染まり草紅葉を楽しませてくれるハイオトギリ。
高原温泉口から緑岳を越え登山道脇に目をやると身の丈10cm、厚みと光沢のある広線形の葉が根元に多数付き、茎の先に白い花が1~5個、外側に濃い緑色のすじ模様が見られ高貴なイメージを感じさせるお花、クモイリンドウが咲き出していました。本州のトウヤクリンドウより丈は低く、花冠が大きいそうです。「大雪の貴婦人」とも言われるほど気品ある姿は引きつける魅力十分でしょう。白雲小屋の周りでも多数見られまだもう少し楽しませてくれそうです。
白雲小屋前に咲くクモイリンドウと高根ヶ原。
緑岳の裾野 ではまだチングルマ、アオノツガザクラ、エゾコザクラなどの群落が見られました。
高原沼の多くは高根ヶ原東面の大規模な地滑り によって陥没、水がたまってできたものだそうです。紅葉期にはすばらしい景観を見せてくれ多くの観光客が訪れます。
*緑岳登山の際はヒグマへの装備(鈴、熊スプレーなど)をお忘れなく。
花の百名山としても知られ、火山性の荒々しい山の多い十勝連峰のなかでも富良野岳は高山植物に恵まれた花の山としてファンの多い山です。今回、東京方面から三日間の日程で花の大雪山(黒岳・雲ノ平、旭岳・裾合平、富良野岳)を訪れてくれました。一日目の黒岳は強風のなかダイセツトリカブト、ナガバキタアザミ、ハイオトギリ、エゾツツジ、チングルマ、コマクサ、エゾコザクラなど夏と秋の花が一緒に見られ、特に雲ノ平ではチングルマ、エゾコザクラ、ミヤマキンバイの群落、美ヶ原ではミネズオウのピンク色でかわいい星形の群落を楽しまれました。二日目、裾合平のチングルマはピークは過ぎていましたが綿毛の大群落と帯状に伸びるチングルマ、旭岳北斜面に見えた白鳥の雪渓と十分満足されたようでした。
安政火口周辺は荒々しい地形に圧倒されます。右奥に上ホロカメットク山。
トカチフウロの淡い色合いは何かほっとさせてくれます。
富良野岳分岐から上ホロへの縦走路、D尾根の向こうには岩肌がむき出しの安政火口と奥には十勝岳が聳えています。
稜線下部の斜面には秋の花たちがいっぱい。ダイセツトリカブト、ミヤマアキノキリンソウ、ウサギギク。
頂上直下の登山道からの絶景にカメラを向ける皆さん。
頂上直下の斜面に咲く、イワブクロ、アキノキリンソウ、ウサギギクの群落。少し前まではハクサンイチゲ、チングルマの群落でした。
大雪山では珍しいエゾルリソウ。
風も無くとても暑い頂上でしたが展望は最高でした。